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07 飛び切りの求職者に刺さる求人メッセージ

(2022/05/29)

いうまでもないことですが、いい人材を確実に仕留めるためには、確実に急所をヒットできるテクニックも重要です。

求職者にとっていい職場は十人十色

いい求職者がどんな人材かおぼろげながら考える土台ができてきたところですが、ここで突然ですがいったん求人求職のことを忘れて、スマートホンを購入する場合を考えましょう。

スマホ

たぶん誰しも、いいスマートホンを手に入れたくてイロイロ比較検討していちばん自分のニーズに適していそうなものを入手したと思うのですが、高機能すぎて使いこなせそうにない機種や購入予算をはるかに超える高価な機種は今回見送ることにして、ほどほど満足できそうなものを比較検討して購入に至るのです。

ここでたとえば音楽好きな購入者は音質とか記録できる音楽の数を、食べ歩きのインスタグラムをしている人は料理写真の映えやすさやアップロードのしやすさを、アウトドアが好きな人は数日間充電できなくても困らないように電池の容量を、おしゃれな人は見た目をそれぞれ一番重要な特性として比較検討することでしょう。

つまり人によって一番良いスマートホンの定義は異なっていて、だからいろいろなタイプのスマートホンがあってそれぞれに売れるわけです。

求職する場合も、仕事のやりがいに重きを置く人、休暇数や残業の少なさにひかれる人、会社の安定性を気にする人やとにかく報酬額第一の人といろいろな価値観があって、でもすごくいい年収だしやりがいもある好条件であってもプロスポーツプレーヤーになるのは自分には無理そうだと諦めます。

求職者にとってのいい仕事もまた人さまざまなのです。

従業員全員がちゃぶ台ひっくり返して退職してしまうような会社でない限り、今勤務している従業員は何らかの魅力・メリットを感じて勤務しているわけで、今の従業員と同じ価値観の求職者だっているだろうからその人に向かって職場の魅力を訴求すれば、応募可能性は格段に上がりそうです。

求人書類

就職先決定は、満足化原理つまり世の中すべての情報を完璧に把握しているわけでないなかで最適でなく満足できる水準の選択肢であれば意思決定するという考え方に従い、でもその候補が満足に満たないときは違う候補を探索する、という決定プロセスなのだそうです。

実際には満足できそうな求人案件をいくつか比較検討して、いちばんよさそうなものを選択することも並行して行われるでしょうが、応募者にとって最も重要な選定要素たとえば働き甲斐をきっちり訴求できれば、ほかの条件はそこそこでもおもいのほか応募候補に残留できるチャンスはあるでしょう。

そうはいってもスマートホンでも、音質も画質も充電の持ちも良くして価格アップは抑えようとすると結局どっちつかずな製品になってしまい、音質派からも画質派からもそっぽを向かれるように、自社の特徴はなにか、自社で働く満足感は何なのかを絞り込み際立たせる方が印象に残りやすくなり、選ばれやすくなります。

実はこの記事(飛び切りの求職者に刺さる求人メッセージ設計)は、商品を購入してもらうための、差別化とかターゲティングなどマーケティングの考え方をもとにしていて、「第05話 求人求職のカスタマージャーニー」もそうなのですが、求人をうまく進めるためにはマーケティングの考えかたが非常に有益なのです。

求人するということを、「自社の働き口という商品を求職者というお客様に購入していいただく」という見方で考えると、買ってほしいお客様はどんなニーズを持つお客様で、そのお客様にどう自社商品の魅力を伝えればお買い上げいただけるか、というプロモーションと全く変わらないのです。

お客様はどんな商品を欲しがっているか(=仕事を通じてどんな満足感を得たいか)、購入していただく(=応募してもらう)にはどう商品の魅力を伝えるか(=その仕事がどう求職者の仕事ニーズにマッチして他社と異なっているか)を、商品を必要としているお客様(=求職しているいい人材)に適切に訴求する刺さるキャッチコピーを考えることが重要です。

経済産業省「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」報告書(平成30年3月)は、「働き手(人材の母集団)目線での自社の強みを理解できていない、又はうまく魅力発信ができていないことから、魅力的な中小企業の情報が人材側に届いていないことも問題となっている。多くの働き手が、そもそも中小企業に関心すら抱かない(転職等にあたり中小企業が検討の対象にすらならない)状況にある。」とまさに求人メッセージの改善余地に問題意識をあらわにしています。

求職者にとっての自社の魅力をクリアにアピールし求職者が就職に求める価値観に訴えることで、いい求職者の応募は格段に増やせるでしょう。

企業説明

ちなみに、いわゆる3Kと思われがちで応募が少ない職場は、それでも実際に働いている人も決して少なくないことを考えると、実際より過度にキツい仕事だと信じ込まれている節が多分にあります。

うまく誤解を解くことで意外と求人の反応がアップする可能性も十分あって、試行錯誤してみる価値は十分にあるのです。

これらプロモーションでもやはり、適宜振り返って改良するPDCAの取り組みが必要です。

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