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01 売れないワケを原点に戻って洞察する

(2021/10/16)

いま市場はモノ余り、お客さんは商品選り取り見取りで、逆に売る側はいかにお客さんに買ってもらうか必死にあの手この手を弄しています。

お客さんに購入してもらったりファンになってもらったりする効果があるというマーケティング手法も多数巷をにぎわしているのですが、さて、これらは本当に効果があるのでしょうか?

ふと冷静になって、そもそものところから考えてみましょう。

買ってもらおうと思ってませんか?

仙台駅東口の家電量販店のスマホ売り場にいると音もなく販売員さんが寄ってきて、「何かお探しですか?」と親しそうに声をかけてくるのってなんだか、イカニモ買ってもらおうという下心が感じられるような気がして煩わしくないですか?

そんな状況をたとえる話としてマーケティング業界でしばしば引用されるのが、北風と太陽というイソップ寓話です。

北風と太陽

旅人にコートを脱がせるには力ずくではうまくいかなくて、当人がその必要性に気づくように働きかけるとうまくいく寓話は、商品をお買い上げいただく場合でも買ってもらおうとするのでなく、この商品良いなと気づいて自然に欲しくなってもらうことが大事だと教えてくれます。

お客さんはどういう状態のときに財布の口を開けるのか

お客さんがこの商品(あるいはサービス)良いな購入したいな、と思うには、その商品にお買い上げ額以上の価値があって、しかもお客さんがお値打ちであることを知ってなければいけません。

※より正確に言えば、お買い上げ額以上の価値がありそうだと思えれば、仮にそうでなくても購入していただけることもあるでしょう。ただしいうまでもなく、商品価値がお値段に満たない場合は、その商品もお店・会社もリピートしていただける可能性は非常に低くなります。
それではちょっと話にならないから、以降は商品がお値打ちであることをお買い上げの前提と考えて話を進めます。

財布

皇室ご用達最高級の毛皮のコートを¥5000で大安売りするといっても、常夏の熱帯地方に暮らす人たちには価値を見出せない無用の長物だし、透明な石が格安で売りに出されていても、ダイヤの原石だと知らない人は目もくれず素通りするでしょう。

お値段以上の価値があるということと、お客さんがそのことを知ってること、それに加えていえば、今すぐ買う理由があるときでないと、お客さんは財布の口を開けてはくれません

潜在顧客と見込み客と新規客とリピート客

リピート客というのは過去商品を購入して価格以上の値打ちがあることを実体験で知ってて繰り返しお買い上げしていただけるお客さんで、いっぽう新規客にもなってないお客さんはまだお値段以上の価値があることを認識できていない未購入のお客さんです。

新規客はすでに一度お買い上げはしてくれているので気に入ればリピートしていただく可能性があって、いっぽう見込み客というのは、自社の商品やサービスに関心があり、近々購入の可能性があるお客さんのことを指します。

自社の商品やサービスに関心がなかったり商品のことを知らないお客様候補のことを、潜在顧客と言います。

顧客育成

新規顧客開拓というと、潜在顧客→見込み客→新規客のステップアップの仕組みを作って実行する、マーケター流にいえばお客さんを育成していくことだといえるでしょう。

新規客(または見込み客)になってもらうということ

お値段に価する価値のない商品を売りつけるのはある意味犯罪だから別の話として、潜在顧客が商品を買ってくれない(つまり新規客になってくれない)理由の多くは、お値打ち商品がここにあることを知らない、つまり宣伝不足・説明不足か、良い競合商品があってそれと比較しているときでしょう。

今すぐ買う理由がない、たとえばお腹が空いていないとしたら、もし安くてうまくて腹いっぱいな定食屋さんがあってそのことを覚えていれば、いつか空腹になれば駆け込んで食事するでしょう。

定食屋

ちなみに上では覚えていれば、と書きましたが、ここ実は重要な部分で、目にしたことがあるとか知っている、では駄目で覚えているのでなければお客様は来店してくれません。

これについては、新規集客をどう進めていけばいいか具体手法の解説の中で説明したいと思いますが、当面は知っているという言葉は覚えているいう言葉と同じ意味で扱います。

競合店のほうがお買い得であるかもしくは自店と同レベルでも知名度が高いとお客さんは他店に流れるでしょうから、商品の価値を高める努力をしてお値打ちにすること、それに加えお値打ちであることをお客さんに知ってもらうということがすごく大事で、でも意外とできていないのです。

顧客にとっての課題とは

実はもう一つ、お客さんが商品を購入するための根本的な前提があって、それは、商品を購入してそれを使うことで、お客さんの何らかの課題が解決する(もしくは課題があるとは思っていなかったけどより幸福になれる)ことです。

いくら格安お値打ち品であることをお客さんが知っていても、お困りごとの解決の足しにならないものには手が出ません。

英国に「馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない」ということわざがありますが、馬が水を飲むかどうかは喉が乾いているかどうか馬次第・馬がのどの渇きに困っているかどうかだ、ということで、まさにお客さんが商品を買ってくれるかどうかと同じことです。

馬に水を飲ます

普段不便を意識していなかったけどそれを使うと圧倒的に便利だったり楽しくなるような商品が現れたら、それに気づけばお客さんは迷わず購入するでしょう。

商品を入手すること自体はお客さんにとって目的ではない

つまりお客さんは商品そのものが欲しいのではなくて、お客さんが主観的に感じる商品の「便益」もしくは「その商品で得られる(課題の)解決」を購入します。

高級外車を購入する人は車を手に入れることが目的なのではなく、それに乗って快適に移動することもしくはそれを所有する見栄を満足することが購入目的であり、そこが解決したい課題であり入手することで得られる便益なのです。

高級外車

育毛剤を購入するお客さんの例だと、養毛剤が欲しいのではなく髪の毛が欲しいのでもなくて、モテたいのです。

一時期デザイン思考という概念がバズりながら残念なことに本質理解が促進しないうちに下火になってしまいましたけど、デザイン思考というのはすごく簡単に言えば、商品を提供するのでなくお客さんが持っている課題を解決しよう、という姿勢・考え方なのです。

貴社・貴店の商品は、お客様のどんな課題・ニーズを解決できるのか考えてみてください。
便益についてもう少し、次回に考えてみましょう。

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